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当時のクラスメイトからは妬まれ、疎ましがられて、ときどきわたしの陰口を聞くという。
そして、そこまでして得た立場である今のクラスのメイトたちは、わたしから残念だと思われていてわたしも、そう思われることだろう。
……あーあ。
帰る場所も、行く場所もなさそうだな。
机に頬杖を付きながら、ツルナは息をはいた。
「おーい!」
声がして、ふと見上げると、目の前にフィルが立っていた。
この子は、昔馴染みだけれど、器の狭いわたしにも、わりと話しやすい。にたところがあるのだと、本人は言っていた。
美人で、すらっとしているけれど、どこか周りを寄せ付けない、それがフィルの印象だ。
それが心地いい。
「どうした、ぼけーっとして」
「ううん、別に」
わたしはあまり、弱いところを見せたがらない。「……なんか、顔が真っ白だぞ?」
「な、なんにも無いよ」
「そうか?」
すっと指先から冷たくなり、ガタガタと震えることはあるが、よくわからないのだ。
私は、いつ殺されていいように、嫌いなものを目の届く場所に繋いでおく癖がある。
ずっと握りしめたままだった携帯電話の履歴を、ちらりと確認して、
『あぁこれか』と思った。
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