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 最近、クローンと人間が共存するようになっているなかで、純血が減りつつある。

純血――彼女らは特別な存在で、薔薇扱いされたり、花と呼ばれている。 まあ、しかし華やかなのは名前だけ……
実際は、人の気持ちがわからないクローン体たちに資料扱いされ、使われている立場なのだった。

 嫌味なのか?と思うくらい豪快に咲く木が、今から向かう校舎の前に植えてあるのを見ながら、わたしはつい、そんな彼女ら……


クラスメイトのことを、思い出してしまったのだ。



 クローンと、純血、普通の人々が通う学校……目の前の校舎を見上げて、改めて考える。

狙われたり、しないよな。


どーん。

背後から気配とともにあからさまな音がして、衝撃がきた。
振り向くと、『純血』の一人がにこにこ笑ってこっちを見ていた。

「あなたが噂の新入生だね」
わたしのと同じ、入学にあたって、のパンフレットを手にした彼女に話しかけられて、目をぱちくりとさせた。

「あなたも噂の新入生だね」

たしか、昨日の入学式ではフィルローグと名乗っていた子だ。
明るくて、少しかわっている。

「うんっ! あなたと同じでーす」

にこにこ、している彼女からはなんの敵意も感じられない。背中までの髪は、綺麗なつやのある色をしていた。

「一緒に校舎に参ろうではないですか」

「えっ、いいよ……」

思わず拒否るが、彼女は気にしなかった。

「いこうぜ! 独りは寂しいじゃん」

そうだろうか。
独りで居て、苦しいときはあったけど寂しいのかはわからない。
寂しくっても、誰でもいいからとは思わないし……

「独りにだって楽しいことはあるのに。

それを知らないだなんて、それはそれで寂しいよ」

「なんか、メーサちゃん、独り好きそう」


「私の名前は、メーサじゃないってば」


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