ページ:1

「ああ、やればいいんでしょう!」

ラコは、キッと前を睨むと、手にしたブーメランを両手で構え直す。
そして、ひゅんひゅんと頭上で円を描くように振り回す。
ブーメランが次第に光りだし、魔法文字を浮かび上がらせた。

「いくわよ――サウザンド・ナイト!」

 やがて、彼女の身体が分裂し、結界の向こう側に映される。一見、外に出られたような錯覚すら覚えてしまう。
ブーメランを身体の正面に構えて自分に軽く当てると消失する残像なのだが、彼女の意識は術で出来た仮の肉体を用いて数ヵ所に、同時に留まることが出来る。

目から、一筋滴が伝った。


「私……タロウを、愛していたわ」

タロウは、背後の気配に気づき、気が逸れる。そして結界外にいる方のラコを追い始めた。2019.6/15 14:28

[次へ#]

1/6ページ


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!