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どんなときも、タロウはラコの味方だった。
重たすぎて面倒だからと言い切り友達を無くしたときも、彼だけは責めなかったし、理解してくれていた。
恋人にラコが暴言を吐いたときも、タロウだけは庇っていたし、ラコがちょっと悪さをしても、甘やかしていた。
そのタロウがまさか、自分を敵(ライバル)と認識して牙を向けるなんてことが、あるだろうか?隣で、デンシンが「なに突っ立ってるの!」と騒ぐが、彼女は呆然として震えていた。
「私を、愛していると言った……タロウは、私を攻撃したりできないはず! こんなの嘘よっ! 嘘なのよ! だって、矛盾してるもん。好きな相手を、こんな、危険に晒すようなことをすると、嫌われるもん!
やめてと言われたら、やめる、でしょ?
嫌われることなんかしないのが、相手が大事だということで――」
しょ、という間もなく、ラコは飛び上がっていた。
影から手が伸びて、ラコを強く叩きつけた。
何度も、何度も叩く。
「ラコ、あなたの知る、タロウはもう居ないの」
見かねたデンシンがため息を吐いた。
「少なくとも、今、ここには居ない……」
ラコはよろよろと起き上がる。擦りむいた膝が痛んだ。
「酷いわよ、タロウ、なんで! 好きな相手にこんなことしていいわけ!」
影は、ニタリと笑っていた。
「好きな相手をいたぶりたいという性癖の人だって、いるわよ。きっとその手の人ね」
「うっさいわね! あとさりげなくラコって呼んだな!」
「どうどう、ミュンヒハウゼン」
「ラコは馬じゃ」
ない! を言う間もなく、影が手を振り上げた。
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