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「その結界の中に管理者が封じられている……」

 ルチアノはやけに歯切れが悪そうに呟いた。
廊下は長く、そしてあちこちから嫌な気配を醸している。
立ち止まったまま居ると、見えない圧につぶされてしまいそうだったので、フィルには沈黙はやけにつらく思えた。

「ここの生徒よ」

「校舎内で、その誰かを隔離するための防壁に使ったというの。だけど、生徒でもクローンたちなら許可証か、ごまかしの薬品があれば……」


「管理者自身に、ハンドガードを使ったの。自力では開かない」


「ハンドガード?」


「管理者の存在そのものを、跳ね返す禁じ手。
『枝分かれした存在』
あれの技術の、おまけで生まれた最悪な結界。『自分以外の管理者』が触れなければ壊すことが出来ない。
なぜなら……その破壊は管理者自身を破壊するから」


フィルは何を返せばいいかわからなかった。ルチアノの表情には暗い影が見えた。
つまり、その結界は管理者と強い繋がりを持つ生きた結界。
他の管理者が干渉しなければ、出られないのだという。

「あ、あの……どうして、その人を、貴方は」



また校内放送が鳴った。
2名を探している。
立ち止まって居てはいけない。



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