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「来てほしいところって、どこ?」
フィルが怪訝そうにするのも気にせず、ルチアノはその腕を引いて部屋の外へ向かおうとした。
しかし、立ち止まる。
「……」
ルチアノは廊下の奥をうかがうようにしながら、進もうとはしない。
「な、なに?」
「あなた、本以外でも戦えるわね」
キッ、とにらむような目。戦いを示唆されているのだろうか。
理解が追い付かず、フィルは何も言わなかった。
「結界《管理者》は、ただの純血ではない」
「父様の、こと?」
「あなたもよ、フィルローグ!」
強い口調で言われて、なにがなにやらで戸惑う。
「敵が、居るの?」
フィルは握りしめた本にそっと手を置きながら聞く。
「残念ながら。誰かが侵入してる気配はさっきからあるわ。
まさか気付いてなかったの?」
呆れられたが、彼女はそれよりも侵入者が気になった。
「いい? 私犬死はごめんだから。
今から言う通りにしなさい!」
びし、と指をさされて、フィルはあっけにとられた。
2019 1/18 0:59
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