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 価値というのはあげることは難しくても、下げるのは簡単だ。
悪口を言いたがる人物はもとより多く、差別ももともと多い。
お前は醜い、劣ると、クローンの家族からそれしか聞かされずそだつケースもある。

その流れに、こちらも逆らわないというのは容易いものだ。



「……みたいなことを言っておけば、うまく騙せるわ」
銀色の髪の少女は微笑んだ。

このお話はふぃくしょんです。のテロップが、スクリーンにでかでかと表示される。

「舞台裏なんか絶対描かれないんだからねん!」

フィルローグ婦人は、なんとも言えない表情を浮かべる。

「確かに、記者がうっとうしいですから納得されそうなことを言っておけば、追求はされないでしょうけど……」

直接頭を下げにも来ないんだから、語る必要がないという意見はもっともだ。

「で、本日の議題は」






 言いかけたところで急な放送が鳴り、私たちは会議どころではなくなった。

    は、きらきらした目をこちらに向けて、諸君、と言った。

「私たちは誰にも得られない物語のなかに生きているよ。

売り物が霞むような、ね。
可愛い子たちを、絶対にネタになどさせないさ。


我々の宝物として、

それは、存在すればいいものだからねん」



私たち、それもまた物語。
それはある意味の勝利。
報酬のようなものである。
だから、何も言わずに、鍵をかけてしまうのだ。

「はい、承知しております♪」

さぁ

――霞むような毎日を!


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あきゅろす。
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