びたえあ
30.底が抜けたら返りましょ(1/17)
FとGは一昨日の買い出しとクリーニングの後何者かに撃たれて傷を負ったのだというが(何者か、なんて『大体あの辺り』だろうという何かはそこにあるはずだけれど)
報告はリュートが止めたという。
「なんで」
リュートを見上げると、彼はとても冷静に言う。
「貴方の言った通り、
彼女らだって
『重みから目を逸らしているだけ』です。
なのに貴方は……
『此処』の『道具』に、感情移入してはならない。それは貴方の仕事ではありません」
どうやら肉まんを渡したのも知っているらしい。
「おばさまもおっしゃっていました。
『あのガキは、勝手に甘やかすから』と」
冷徹に見える台詞。
だけど、それはうわべだけなぞるから。
彼女らは『道具』だ。
確かに遊びに来ているわけではない。
この『立場』に置いては悪いのはぼくなのだ。けれど。
「……。FとGは、平気?」
「幸い命に別状はなかったそうですがー」
「ええ。戻るまでは、掃除は一人になるかと」
「まー2ヶ月くらいですかね、当番で回しますから一人に片寄らないはずですが」
AとBが交互に言う。
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