びたえあ
18:17

「高いカップだったな」

思い出す。

「結構、いいカップだったのにな」

思い出す。

「ボクに渡したりしなきゃ、割れなかったのにな」

思い出す。
口をつけようとしたら、地面に打ち付けている。

 やがてリュートが部屋に戻ってくる。
二人ぶんのカップを手にしている。

「主人にも作らないと、俺が殺されるんで」

リュートはそういって舌を出す。片方を飲み始めた。

 ボクは、冷めていくカップに手もつけずに、ただぼんやりと見ていた。
「おいしい?」

聞いてみた。

「えぇ、とても」


彼は嬉しそうに笑った。


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