びたえあ
愛情


「あなたは、ずっとここにいて」


 思い出すのは、そんな夢。
あの呪縛は、いつ、無くなるのだろう。
布団から起き上がると、妙に頭痛と吐き気がした。
気持ち悪さに口もとを押さえる。

 いつだって、あの重たい感情から逃げるように、誰も触れない領域に手を伸ばす。
愛されるくらいなら、爆弾だって薬品だって作ってやるし非行に走る。

――それが、一般的な考えだと思う。

今のボクは、それを取り上げられた状態。

 ボクが作った、彼らから逃げるためのものを、『彼ら』が、持っていった。

 バイクを盗まれ捨てられた不良 みたいなものだから笑える。
俺が代わりに走るから! と言われたって、自分で走る喜びは得られないだろう。

不良を引きずってきて、警察につきだして「我々が走るから、きみは引退しなさい」 という想像をするだけでもイカレてる。
逃げ場も、吐き出し口も『心配だから』
奪われたまま、生きなくてはならないのだ。

 全部が、何もかもが気色悪い。
ただ一番気色悪いのは、説教みたいなホームドラマを入れて悦に入る作家だと思っている。
 だからこそ、好きだと言い寄られたらその相手をボコボコにして自由を得る気持ちを得る。
そのくらいは、自由。

 愛を美化し、恋にしか頭が無い人間がボクが最も汚らわしく思う種類のゴミ。
ゴミを捨てると、心が綺麗になっていく気がする。だから、メイドに会わないように気をつけて布団から起きた。




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