びたえあ
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 あの事件の後から、よく、ボクはなにかあると空を見上げる。
死んだヤツ、居るかな。
そんなことを思うし、自分も行くのかとも思う。
あの綺麗な場所に行けるなら迎えが来るのは、少し楽しみだ。
柄にもなく穏やかなことを考えていると「買ってきました!」と明るい声。

リュートはうきうきしていた。
……はぁ。
なんかばからしくなった。

「ひめ様、どうなさってますかね」

 少し哀愁を漂わせながら彼は白い息を吐く。

どうもこうもない。


「『いつも』と 同じさ。どうもしない」

「では、早く帰りましょうか」

「はいはい」


どうでもいい会話。
どうでもいい風景。
少し冷えてきた夜。
それらが、温まらない心を、どこか掻き乱すのを気にしないふりをした。


END.






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