びたえあ
ページ:3
あの事件の後から、よく、ボクはなにかあると空を見上げる。
死んだヤツ、居るかな。
そんなことを思うし、自分も行くのかとも思う。
あの綺麗な場所に行けるなら迎えが来るのは、少し楽しみだ。
柄にもなく穏やかなことを考えていると「買ってきました!」と明るい声。
リュートはうきうきしていた。
……はぁ。
なんかばからしくなった。
「ひめ様、どうなさってますかね」
少し哀愁を漂わせながら彼は白い息を吐く。
どうもこうもない。
「『いつも』と 同じさ。どうもしない」
「では、早く帰りましょうか」
「はいはい」
どうでもいい会話。
どうでもいい風景。
少し冷えてきた夜。
それらが、温まらない心を、どこか掻き乱すのを気にしないふりをした。
END.
[*前へ][次へ#]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!