びたえあ
30.底が抜けたら返りましょ(8/17)
リュートは、相変わらず表情を変えない。
ただ、静かに答えた。
その声はひそやかなものでなく、全体に向いた。
「貴方と話していたときにおばさまが聞いたとおっしゃるんですか」
ひめが部屋に一人で居たとき?
「いや……それは違うだろ。
ただ、ボクたちは、ひめが一人になる時間は作った。
ボクらが戻ってきたときには、
自分のことに、気付いてしまっていたみたいだけれど」
ひめを見ると、何やら青ざめていた。
「私、ヒトが遅いから、あの、探しに、行きました……それで。少し話が聞こえて、誰か戻って来ると思ったから、いそいで、部屋に戻った……。ごめんなさい。
それで、冷静になろうとしてたら、」
「記憶が繋がっちゃった?」
2018.12/2619:45
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