びたえあ
30.底が抜けたら返りましょ(4/17)

 空は少しずつ曇っていて、山の奥の方からは薄く霧が出始めていた。

「……ひめ」

ボクは少し照れてうつむいているひめを見た。

「ヒト?」

ひめは戸惑ったような、泣きそうなような、恥ずかしいような不思議な表情をしている。

「どこに行きたい?」

「どっ……」

ど?

「どきどきするよぅ! 今、今考えるの、勿体ない、です」

わわわわ、と慌て始めた。

「そっか」


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