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不意打ちの名手リカルド



いつにも増して眉間に皺が寄っている傭兵がひとり、船内に据え置かれた談話用であろうテーブルを一人で陣取っていた。
通りかかる者達は、そのただならぬ雰囲気に身をすくませてそそくさと通り過ぎるばかり。もちろん彼自身がきづいていないわけもなく、十分に居心地の悪さを感じていた。
だが、そこから動けないわけがあったのだ。

「…いつまでそうやっているつもりだ」
「あとちょっと!」
「そう言ってもうどれくらい経つんだ」

額に傷跡のある傭兵は目の前の虚空に声を発する。しかし、それに応えるように響いた声は、彼の足元からだった。
リカルドが今座っているゆったりとした四脚の椅子。その足元は裾の長い彼のコートによって上手く死角になっていた。彼が踵を後ろに軽く蹴りあげるように動かせば、ちいさな悲鳴があがる。
リカルドはまた面倒なことに巻き込まれたもんだとため息をついた。

「おいクノー、いい加減にしろ」
「やだ!」
「見つかるまでそうしてるつもりか」
「お腹すいた」
「この菓子はやらんぞ」
「けーち」
「出すぞ」
「ごめんなさい!」

この問題児が顔面蒼白で助けを求めてきた時は気圧され思わず匿ってしまったが、よく考えてみればそれが間違いだったのだと反省させられる。
またどこかでやらかしてきたらしい少女は、その追っ手から逃げていたようだった。

「で、今日は?」
「研究室でノーマとシャボン玉で遊んでたらなんか壊しちゃって、ウィルが悲鳴あげてたから逃げてきた!」
「…また厄介な事を」

ノーマはちゃんと逃げたかな?なんて的外れな心配をしている少女に呆れてものも言えない。
一日に一回は大なり小なり問題を起こすことで有名なディセンダー。まさか自分にまで面倒が降りかかるとは。
テーブルの上の果実酒はいつの間にか氷が溶けきって色が揺らめいていた。もう飲めたもんじゃないなと諦める。足元に誰かが居たんでは落ち着いて酒も飲めやしない。

「へへ」
「…何がおかしい?」
「かくれんぼみたいで楽しいね!」

ニシシ!と誰かの癖がうつったような笑い方をしてリカルドの足の間からクノーが顔を出した。それが本当に楽しげに笑うものだから、頭に浮かんでいた叱咤の言葉がどこかへ吹き飛んでしまった。

「下らんこと言ってないで隠れてろ」
「おあぶっ」

つまみ用に持ってきた菓子を少女の口に詰め込み、膝の裏で頭を椅子の下へ押し込んだ。
くぐもった悲鳴が下から聞こえるなか、グラスいっぱいの水っぽい果実酒を一気に飲み干した。
まるで、先程の不自然な間を誤魔化すように。




不意打ちの名手
(クノーが死にかけたって本当か!?)(喉をつまらせて窒息しかけていたみたいですね)(…。)(リカルドさん、身に覚えでも?)(いや別に)




__________
迷走しています…(;_;)
違うんですロリコンじゃないんです!
なんっ…ガキってこんな可愛…クソてめぇ何思わせてんだこのっ…みたいな!←ロリコンです
いやでもリカルドさんって普通に子供好きって感じします。生意気でも問題児でもべそかきでも結局は面倒見いいというか…
今回のも、なんなの子供可愛い畜生みたいな感じでお願いします(リカルドさん絶対そんなん言わないけど!)

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