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まるで何かに怯えたような瞳だ。
レノは見上げてくるナマエを見つめて思う。

「何が嫌なんだ」
「…。」

…分かりやすい、反応。
要するに、孤独が嫌で現実逃避をしていると言ったところだろうか

周囲の変化に怯え、置いていかれる錯覚に、ただただうずくまる。
その変化の対象がまさに彼奴となれば尚更、焦燥は募り拒み続けているその孤独に無意識に歩み寄る。
安心させるように、レノは抱きしめる腕に力を込めた。

「…時間は容赦なく進むんだ」

もたもたしてれば、置いてけぼりをくらっちまう

「だからお前も、進み続けなきゃ駄目なんだ」
「な、に…言って」

動揺を隠せないナマエ。
抱き締めていても分かるくらい、鼓動が早く、息も浅く多い。

なんて小さな肩
なんてか弱い心
しかし、それがそれ故か

儚く、脆い君が
愛おしい

ことさらに、レノはそう思った。
未だに、少し熱に浮かされたこの身体は、いったいどれほどの苦痛を抱えているだろう。

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あきゅろす。
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