* 「置いてきぼりかよ…」 ザックスはガクッと肩を落として頭をかきむしる。 ナマエから電話があってから、既に30分は過ぎていた。 先程の電話で機嫌を損ねていたザックスは、急ぐ気にもなれずにうだうだと歩いてきたのだ。彼等はやはり待ちきれずに先に行ってしまった。 ザックスは今まで頭を埋め尽くしていた憤りが、だんだんと虚しさに変わっていくのを感じる。 今頃、ナマエは後輩達を指導しているのだろう その中でもあの後輩とは、たくさん話しているのだろう たくさん笑っているのだろう 俺がそこに居なくたって、お前は笑っていられるのだろう 俺じゃなくたって、お前は笑っていられるのだろう そう思った途端に、胸がズキンと痛んだ。 アイツの傍に居てやれるのは、俺だけだって…思ってた だがそれは所詮、自分の独りよがり 人は歩む道を、自分の足で探したどる 縛られてはいけないのだ 誰からも、 ザックスは自嘲気味に笑い、空を見上げる。 [*前へ][次へ#] [戻る] |