ページ:5 「なんでそんなに否定されなきゃいけねぇの俺!?」 「ほら分かってないな、あ-やだやだ」 頬杖をついて、さも小馬鹿にした表情でカンセルはさらに言う。 ザックスは思わず拳を握るが、振り上げる前に変化が起こった。 「お前。モデオヘイム以来、なんなわけ?」 「なんなわけ…って、」 マスクの中からでも分かる、カンセルに睨まれている。 ザックスはそう感じた。 「カンセル…何か怒ってる?」 「さぁな」 カンセルは低く冷たく、ザックスに言い放つ。 ストレートすぎるそれに、流石にザックスもグッと詰まってしまう しかしカンセルのこれは友に対する怒り。 だからザックスは真正面から受け止めることが出来た。 「こっちだって事情は分かってる」 お前がどんなに大変だったかって事、悔やみ苦しんだかって事 「でもだからって、そんな後ろばっか見てたって仕方ねぇだろう」 いつまで引きずっているつもりだ、いいかげんに目を覚ませ ぐさりぐさり、とカンセルの叱咤はザックスの心に突き刺さる。その瞳は苦しげにひそめられ、唇は引き結ばれた。 自身でも分かりきっていた自分のその事実を、改めてカンセルに言われると、耳を塞ぎたくなった。 [*前へ][次へ#] [戻る] |