ページ:3
私は、何をしているのだろう…
その問答は幾重にも積み重なり、重しとなって心を塞ぐ。
人々の安寧を守りたかったはずなのに、あの子供達が笑顔でいられる世界を作りたいのに
私の手は、
そんな綺麗な夢を握るには、汚れすぎている
震える拳を、堅く握りしめた。
コンコンッ
指令室の戸を軽くノックをして、ナマエは返事を待たずに中へ足を進める。
そこには、液晶画面とにらめっこをしているラザードがいた。
「統括、只今戻りました」
「あぁ君か、ご苦労だった」
いつもと変わらない温和な笑みを浮かべ、ラザードはナマエに視線を移す。
ナマエも愛想程度に笑みを浮かべて見せた。すると、ラザードはスッと目を細める。
「浮かない顔をしているようだ、どうかしたかな」
「…いえ、そんなことは」
ないです。そう言いかけて、ナマエは口をつぐむ。これでも付き合いの長いこの上司は、何かと聡いものがあった。おそらく見抜かれている、ナマエはそう直感した。
そして以前から理解あるこの上司、つい本音が出たにしても、強く咎めることはないだろう。
「分からないんです」
「何が?」
「私が本当にやるべきことって、これなのかな…って」
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!