何もかも綺麗すぎて 「…此処に来たのかな、アンジール」 ナマエはその羽をクルクルと回し、ソッと手のひらに乗せる。そして、少し荒廃しているこの教会を見上げる。 ナマエはそっと、教会の扉に手をかけた。 --綺麗すぎた、何もかも-- ギイ… 扉は思ったよりも軽く、ナマエを受け入れた。 思わず、目の前に広がる景色に目を奪われる。プレートの下だと言うのに、優しい光が降り注いでいるような世界だった。 物静かな教会の床の中央は腐食し抜けているらしく、そこには可憐な花が咲き乱れていた。 「ミッドガルに花なんて、咲くんだ…」 ナマエはゆっくりと花畑に歩み寄り、しゃがみ込む。 おもむろに、一輪の花に手を伸ばす。 しかし、 すぐにその手を引っ込めた。 「…駄目だ」 ナマエは自嘲気味に笑って、立ち上がる。 この花を手折ってしまうには、あまりにももったいない この花は、この場所にしか似合わない [次へ#] [戻る] |