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「その金に上乗せして、これを買ってきたわけ」
「げ、」
まさかこんな事に使われるとは、
ナマエが明らかに不満の色を示した事に気付いたザックスは、小さく笑う。
「だって、彼女の金使って本命のプレゼントなんて買いたくないだろ?」
「へ、」
「だから、な」
ニッとザックスが笑えば、すぐに話が飲み込めなかったナマエはポカンと彼を見上げた。
そうして徐々に、その頬は先ほどのような赤みを取り戻す。
「穴がしっかりするまで、お預けだけどな」
「…。」
「ナマエ?」
無言になってしまったナマエを不思議そうにザックスが覗き込めば、胸板に顔をうずめていた彼女が此方をまっすぐな視線を向けていて、思わずドキリと心臓が跳ねた。
その空色の瞳は少しだけ好戦的に光っていて、まるでかつて剣を交えた時のものに似ていた。
「やられっぱなしだと思うなって、言ったんだからね」
「聞いた聞いた。だけど俺、更にまたやりかえすから」
どちらともなく唇を寄せる。
いたちごっこに見えるそれらは、確実に彼等に深い深い絆をもたらす。
これのおかげで次第に、ナマエの悩みは薄れていくのであった。
そうしてゆっくりと、夜は開ける。
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