ページ:6 「じゃあほら、目ぇ瞑っとけ」 「ッ…ザックス…ぅ」 ザックスはナマエの両目を塞ぐように掌をかぶせる。そうすれば、ナマエは不安そうにザックスを呼ぶのだ。 安心させるように抱き締めてやれば、少し身体から力を抜いてくれる。 「一瞬だから、ナマエ」 「う、」 パチンッ ぷすっと耳に聞こえた嫌な音、刺さった感覚、でも思ったより痛くない刺激。 「な、大丈夫だったろ」 「恐か、たぁ…ッ」 身体から完全に力が抜けて、ナマエはザックスの胸に寄りかかる。 クスクスと上から笑い声が聞こえて不服だったので、まだ目を覆っている掌を軽くつねった。 「寿命が50年縮んだ…」 「大袈裟だな、ピアッサーにビビるクラス1stって?」 「血管に針の欠片が入ったら心臓に流れていくんだからね!!」 「…もしかして、それが針苦手な理由?」 「心臓にたどり着いた針は、グサッと刺さって…ううぅ、想像したくない」 それが原因か、とザックスは後ろで納得。 小さい頃にでもそうやって大人に脅かされたんだろうか。医療の話に全く疎い自分にはよく分からないが、この内容を小さな子供が聞いたらかなりのトラウマだろう。 それを今でも覚えているとは、可愛いものだ。 [*前へ][次へ#] [戻る] |