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流石に二度目はナマエも身体を強ばらせるだけですむ。
「ピアスホールもなしか」
「だったら何」
「え、開けなきゃなーと思っただけ」
「え」
ザックスはどこから取り出したのか、市販のピアッサーをナマエに見せてニコリ。
対照的に、ナマエはヒクリと喉をならした。
「い、いやいやいや!!いやーッ!」
「ちょ!暴れんなって危ないだろ」
「いやだやだやだやだってばぁ!!」
「痛くないから本当」
「無理無理無理無理!針的なやつ無理!!」
バタバタと逃げ出すマリの腰を引き寄せてザックスは自分の胡座の中におさめる。尚も暴れるナマエの肩を腕を回して固定し、髪に隠れた左耳をアルコール消毒。
ガッチリと捕まえられてしまい、もはや逃げられないナマエは既に軽く涙目で。それを見たザックスは思わず他の衝動に駆られるが、今は耐えろと自分を制する。
ナマエは尖ったものが苦手だった。
注射は子供並に嫌がるし、点滴なんか断固拒否、ソーイングセットを持った人間を見れば逃げ出すし、裁縫なんか言うまでもなく大嫌い。
なにがトラウマかザックスはよく知らないが、言わば針とは、ナマエの天敵のようなものだった。
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