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「ねぇやっぱりノコギリは私が使うから説明書読んでて」
「は?だってお前が型を書くって言ってたじゃん」
「もう書き終わった。ザックスの手際が悪くて見てられない」
「あっちのイトノコ使えよ」
「じゃあ交換しよう、大きすぎてザックス扱えてない」
「ちょっと雑なのは仕方ないんじゃね」
「どこがちょっとだどこが」
「お前やめッ手ぇ切るから、あぶね!」
「ふふ、喧嘩しないで」
大きなノコギリの取り合いを始めようとする二人に、エアリスは可笑しそうに笑いながら仲裁に入る。
先程からワゴン作りを始めたのだが、どうにもナマエの小言が飛ぶのだ。どうやらザックスの手元が危なっかしく見ていられないらしい。
「ったく、俺が怪我してから騒げよな」
「…エアリスにザックスの血で濡れたワゴンをプレゼントしないでよ」
「物騒な言い方すんなって!!」
ナマエはムスッとしてエアリスの隣にしゃがみ込む。そうしてそれっきり静かになった。
ザックスがノコギリをひく音だけが教会に響く。
チラッとエアリスが隣を見れば、ナマエはじっとザックスの手元を見守っていた。うずうずと手を握ったり緩めたりとせわしない。
そこでエアリスはようやく気付いた。
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