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「あ…そう言えば」
「今度はなに?」
「あー…いや、やっぱりなんでもない」
スラムへ向かう列車の中、
ザックスはナマエを見て何か思い出したような素振りを見せるが、首を横に振った。ナマエは訝しげに眉をひそめるが、それ以上追求することはなかった。
「ナマエがスラムに来るのって久々なんじゃないか」
「そうかも…だけどザックスだって同じじゃない?」
「いや、俺は何回か行ってるけど」
「…。」
ならば何故その時に花売りワゴンを作ってこないんだ
ナマエがジロッと恨めしそうな視線をやれば、よく聞いてくれましたと言わんばかりにザックスはニカッと笑う。
「実を言えば最初から、花売りワゴン作るのはナマエにも手伝ってもらおうと思ってた」
「何それ」
「ん?お前と一緒に外で遊ぶ口実」
「え、」
ぼっ、ナマエの顔は火がついたように真っ赤に染まる。
予想外の理由であった上に、自分との口実作りまでとは…
あれからヤケにザックスの言動は真っ直ぐナマエに向けられて、彼女の心臓にとてもよろしくない。
もともと物事に対してストレートだった彼からしてみれば当たり前なのかもしれないが。ナマエにはそういった免疫があまり備わっていないのだ。
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