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『ナマエの傍には、いつも誰かがいた』
『僕だってナマエの傍にいるのに、ナマエはその誰かにばかり構うから』
『寂しくて寂しくて寂しくて寂しくて寂しくて寂しくてしかたなかった』
自分だけが独りぼっち。
そんな恐怖を抱えていた彼はどんなに寂しかっただろう。いくら彼の影響であったにしろ同じ恐怖を知るナマエにはとても惨いことに思われた。
そんな仕打ちを、自分は彼に長く強いていたのだ。
――――――…ウ、コワクナイヨ…タシガ、イルカラ
『ナマエは僕に言ってくれた。もう独りぼっちじゃないよって』
『でもやっぱりナマエは忘れてしまった。ナマエはあんまりにも小さかったから』
ピエロはいつしか小さな男の子になった。目を真っ赤に泣きはらした少年になった。
その懐かしい姿に、膝が崩れ、ごめんなさい、ごめんなさい、とナマエは瞳に涙をためてその少年を抱きしめた。
『僕の恐怖がナマエを苦しめてしまった。だから謝らないで、おあいこ』
少年はナマエの頬を伝う涙を拭いてやりながら、笑う。
『けど、せめて。もう僕を忘れないで』
ナマエが僕を忘れないでいてくれるなら、僕はナマエの力になれるから
『それと、あとひとつだけ…』
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