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『それなのに、君は何かを求めてばかりだ』


赤は笑う、笑う。
笑うその声はいやにこの世界に響く。
赤はいつしか酔狂なピエロの姿をして、ゆらりゆらりと目の前で笑っていた。
頬に青の雫のペイント、眉はハの字で、目尻はつり上がって、口元は上弦に弧を描き、瞳は赤い。

なんて矛盾だらけなんだろう。
そう視線で訴えれば、途端にピエロはさらに声を震わせて可笑しそうに笑ってみせた。


『どんなに求めたって手に入らなかったじゃない』
『君は置いていかれてばかりじゃない』
『たくさん、裏切られてきたじゃない』
『皆々、君を独りにするじゃない』

『なのに、どうして』


ピエロの貼り付けた笑顔は泣いているように悲しそうだ。
それは私の心を映し出しているという現れなのだろうか。しかしそうだとしても、私はいま随分と静まり返っている。
それに、先程から感じる懐かしさは何だろう。どこか記憶が欠けているように、思い出せない。




――――――…クハ、イツモ…リボッチ、ナノニ



それに、
彼が私の代弁者だと言うのなら、尚更に私は私に問いたい。


「どうして、君はそんなに悲しいことばかりを言うの」





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