誰がためになく君
私は弱くて弱くて
どうしようもない人間で
世界全てに、見放されている気がしてたまらなかった
何よりも恐ろしいのは
根拠のない不安や疑心
独り取り残される恐怖は、絶望を呼びそして
私の世界から温度と色を奪う
そうして気付く
何よりも愚かなのは自分であると
だけれど思う
もう、何もかも手遅れなのではと
救われたいと願うのに、心は見えない未来を恐れる
光溢れる行く先を夢見つつ、優しい暗闇の中に眠る
けれど、
…けれど、君は、
--誰がためになく君--
白の世界、音のない世界
これが、私の世界
どうせなら、晴れ渡った空や透き通る海が欲しいけれど
今の私は、何も持ち合わせていないらしい
『だって、僕等はいつだってそれらを信じなかったじゃない』
真っ白な世界、ポツリと赤い点が浮く
赤は仮面のような笑顔を貼り付けて
軽やかに世界を跳ねている
『僕等は何かが欲しかった、寂しくならないように』
『けれど何も受け入れなかった、どうせいつかまた僕等は寂しくなるのだから』
『ならば初めから何もない世界にいればいい』
それなら、寂しい以上に寂しくならないもの
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