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「当分って、いつだよ」
「ドクターのお許しが出るまで」
「それがいつなんだよ」
「さぁ」
「あーあーあー…ッ!?」
「煩いわザックス」
グリッとテーブルの下で嫌な音がして、ザックスは喉をひきつらせる。
シスネのヒールが彼の爪先をしたたかに踏みつけたようだ。叫び声をあげるのを耐えた事をほめるにしても、かなりの激痛にザックスは悶えた。
「何遍も言うようだけど、変な気を起こさないでよ。上に知られるような事態を起こせば」
「分かってる、って…だから俺が今こうなってんだよ」
ザックスは渋い顔で鼻を鳴らした。
この騒動はタークスによって隠蔽されることとなっており、上層部に伝わらないようにするには些細な行動も命取りとなる。
ナマエの脱走が未遂に終わったにしろ、上層部が内容の真意を知ればどのような処分があるかも知れない。
ザックスもまた、それをきつく言いつけられている。
医師を通じてナマエの容態を聞いているシスネ、人知れず彼女が背負い込んだ闇を思うと、胸がつまる。
しかし、いつも引っかかる事があった。
ナマエは何故、あそこまで孤独を恐れるのか。
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