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ナマエの叫びとザックスの叫びが響いた直後、
凄まじい轟音と共に、熱風が巻き起こる。
このあまり広くない空間で巨大な魔力が爆発し、地響きを作り出した。
まるで暴走したような威力であったそれによって、周囲は手ひどく損傷を被る。
分厚い鉄板は紙のようにべろりと剥がれ、高熱に当てられて大きく歪み変形している。
鉄筋はいくつも折れ曲がり、周囲に置かれた資材も全て瓦礫と化した。
「…ッう…」
その瓦礫の中に巻き込まれたナマエは朦朧とする意識の中、
周囲の全てから庇うように今の自分を抱き締めている温もりを、ただただ茫然と見上げた。
「ザッ、クス…」
どうして、どうして…
震える声で彼を呼べば、閉じていた瞼をやっくりと開き澄んだ空色の瞳を見せたザックス。
そうして、彼はいつものように笑うのだった。
「居場所がないなんて、言うなよ」
ザックスはギュッとナマエを抱きしめる腕に力を込めて、その耳元で囁く。
「…俺はお前の傍にいたい、それを許してほしい」
そして、やっと気付けた
「好きだったんだ、ずっと前から」
憎しみが、苦しみが、不安が、恐怖が
全てがストンと
心から抜け落ちてしまった
その晴れ渡る空のような笑顔が、何よりも
私の心に、温もりをくれたから
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