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「こ…来ないで!」
ビクッと、ナマエは肩を揺らす。それでも腕を下ろさないナマエ、だがかすかに怯みはじめたようで、じりと一歩後退る。
ザックスは尚も歩みを止めない。止めるつもりはない。
お前だけじゃない、
お前に必要とされていたいと願っていたのは、俺も同じだったのだ
俺は、ずいぶんと自分の想いを見誤っていた
いつからだったかなんて、分からないけれど
すれ違ってばかりで、その度に心が軋んで、持て余した想いが更にお前を求めた
「やめて、来るな!」
もうすぐ魔力がたまる、これ以上ザックスが近付いてしまえば、その軌道を外すことは不可能。
来ないで、来ないで
本当は…
君を傷付けたくなんか、ないのに
ナマエは更に後退るが、ザックスは歩みを止めなかった。
そして力が満ちてしまった瞬間、ナマエはせきを切ったように叫ぶ。
…それと同時に、ナマエは大きく目を見開くことになる。
「俺は…ずっとお前の傍にいたいんだよッ」
…そんな
そんな…、
世界が、音もなく
ホワイトアウトした
「ザックス来ちゃ駄目ッ!!!」
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