ページ:6
「だけどその時は、思い直した」
此処にいる私を、誰かが必要としてくれているのならば
私は此処に留まろう、と
それが私の支えでいてくれた
けど、それも結局は独り善がりな自己満足
私が必要とされていたんじゃなくて
私が必要としていただけ
「だから、その理由もなくった」
私は誰からも必要とされていない
だから、
「私は、此処から居なくなるの」
ナマエはもう一度ザックスを振り返り、微笑む。
その笑みはまるで中身のない…空っぽの笑顔。
どうして、そんなこと言うんだ
ザックスは我慢ならなくなり、ナマエのその肩を掴もうと手を伸ばす。
「お前のことが必要な奴はいるだろ…!」
「嘘、いるわけない。居なくなったって構わないんだよ」
「違う!少なくとも俺はッ」
バァン!!!
赤熱がナマエの手から飛び出し、鉄の壁に激突する。
その圧縮されたエネルギーは、鉄に風穴をあけるほど。
「…君に私は必要ではないよ」
「な、に言って…!?」
ナマエの手のひらでは、先程の魔法の名残が揺らめいている。それを見つめた後ナマエは、その手をザックスへ向けた。
「だって、私は君に何もしてあげられないから」
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!