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ナマエは葛藤していた、自分の本当の想いから目を反らそうともがいていた。
そこに、ザックスは更に畳み掛ける。
あと少し、あと少しで…ナマエの想いが見えるはず。
「お前はソルジャーの誇りを捨てるのか」
「煩い、煩い…ッ」
「お前に夢はなかったのかよ!!」
「ッ!」
ついにナマエは目を見開く。
彼女の逆鱗に触れたのは明白で、怒りを瞳に宿らせていた。
ザックスの間合いに瞬時に踏み込み、その胸倉をギリと掴む。視界に入るその拳はカタカタと震えていた。
「黙れ…ッ!」
「まだ逃げるのか」
「違う!…確かに、私は忘れてた。私はソルジャーで、私の夢もそこにある…けどね、」
「違うんだよ、ザックス」
ドン、と少しだけ強めにザックスは突き放された。胸元の服の皺は気にもせず、彼はナマエを見つめる。
分からなかった。分からなくなった。
今の言葉によって全て。
突き放された瞬間、ナマエが寂しげに顔を歪めていたことが。
「問題は、そういう事じゃないんだ…!」
ナマエはザックスを突き放した掌を、胸の前で握り締めた。
それはつまり、ナマエが彼女自身の恐怖の“根源”を見いだした事を意味していた。
その証拠に、彼女の瞳の濁りが少しだけ薄れたように思う。
…だがしかし、ザックスはその言葉の意味を理解できなかったのだ。
「もう、戻れないよ…」
ナマエはザックスに背を向けて、静かに歩み出す。
先程までの淀んだ空気までは感じないものの、その背中はあまりにも儚すぎた。
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