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「どうして…!!」

「?」

「どうして私を惑わせるの!!」


キィン、
剣が抜き取られる音がする。

瞬間、ザックスはナマエが振り下ろす剣から回避した。風を切る刃の音を聞き、彼女の背後に回り込んだザックス。
しかし彼は距離を置くだけに止まった。
何故この想いを揺るがせる、何故この気持ちに干渉しようとする、そう言いたげにナマエは顔を歪ませているのだろう。


「俺が揺るがしたんじゃない、お前が揺らいだんだ」

「違う、私じゃない!」

「目を背けるんじゃねぇよ!!」


鋭く低く響いたザックスの怒声。
ナマエは微かに肩を揺らして、ザックスを振り返る。
どうしようもない憎悪にかられているのか、それとも思いもよらなかった自分の出現に当惑しているのか。彼女の想いに、ひびが入り始めているように見えた。


「お前は逃げてるんだ。お前は自分の望みを偽って、自分までもを騙して逃げようとしてる」

「偽りなんかじゃない、逃げてなんかない!!」

「ならお前は忘れてるんだろうな」

「何を、言って…!」

「お前は、お前がソルジャーだってことを忘れてる」









“ソルジャー”









ドクン、
その言葉に、ナマエの心臓は大きく跳ねた。

その一言が、当たり前のことのはずなのに
ざわりと鳥肌を立てる程の衝撃を彼女に与えた…既にひびの入っていた想いを砕くには充分すぎるほどの。


「ソルジャーは世界の平和を守る英雄…俺達はそれを夢に、それを誇りに此処にいる」


神羅が裏で何をしていようが真実がどうであったなどということは関係のない次元の話。
つまりソルジャーとは、誰がどんな屁理屈を並べようとも不動の存在。




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