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「ザックス、優しいから」

「え…」


そうすれば、隣から優しげな笑みが覗く。
それはやはり天使のような、慈悲深い微笑み。


「分かってくれるよ、その人も」

「どーだろ…な」

「大丈夫、だってザックスだもの」

「それってどーいう理屈だ?」


ザックスは可笑しそうに笑って、エアリスを見返す。
そうすればエアリスも、同じように笑う。


「エアリスには助けてもらってばっかりだ」

「ふふ、じゃあ…恩返し、期待してるね」

「おー、任せとけ!」


クスクスと笑うエアリスに、ザックスもニカッと笑い返す。




「…本当にザックス、優しいよ」

「そうか?ありがとな」


エアリスは椅子から立ち上がり、また花の世話を再開させるためにザックスに背を向けてしまう。
何の気なしにザックスはその背中に御礼を告げ、彼は他に思いを馳せることにする。

エアリスが何を想い、彼を“優しい”と称したのか、知ることもなく。




















バタン!

教会の扉が勢い良く開いたのは、それから暫くしてからだった。


「レノ…?」


エアリスが振り向けば、そこには息を切らした赤髪のタークスの姿があった。




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