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「帰ってきたと思ったら…また、元気ないね」

「ん、そうか?」


いつも変わらぬ雰囲気に包まれた教会、そこに咲く花々、天使のような少女。

ザックスはエアリスが花の世話をしている様子を、教会の椅子に腰掛けたままにぼうっと眺めていた。


「何か、あった?」

「いや、特には何も」

「嘘、ザックス」

「嘘じゃないって」

「何かあったって、瞳、言ってるよ」

「ひとみぃ?」


ザックスがおどけて目を瞬かせてみれば、エアリスは心外そうに口を尖らせた。


「ザックスは嘘つくの、下手だもの」

「…。」

「ザックスの瞳、悲しそう」


花の世話を中断して、エアリスはザックスの隣に腰をおろす。

どうやら隠し事は、出来ないらしい。

ザックスは大きく息をついて、穴の空いた天井を見上げる。


「俺さ…駄目なんだよ」

「駄目?」

「アイツのことを大事にしたいって思ってんのに、」

「うん、」

「アイツの大切なもんを、奪ってばっかでさ…」

「うん…」
「挙げ句のはて、逆ギレして逃げ出しちまうような奴なんだよ俺は」


最低だよな、本当に

ザックスは自嘲気味に笑って、額に腕を押し付ける。
何かを耐えるように、拳は強く握られていた。




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あきゅろす。
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