ページ:2 『教えてあげようか、君の悩みの答えを』 あの声は、今なら思い出せた。 「ラザード、統括…」 今回の襲撃事件を起こした、張本人。 ジェネシスコピー達を操っていたのも彼だったというなら、あの時のコピーの行動にも説明がつく。 おそらく彼は、私をこの組織から引き抜こうとしたのだろう 『君は、我々の同志となる』 あの復讐心に満ちた瞳が、彼を最後に見た日のものだった。 まるで予言するかのような彼の言葉が反芻される度、ナマエは背筋の氷る思いがした。 そして、 それと相反して思い起こされるのは あの時の、コピーの見せた兄のような優しさ そして、彼が自分に手渡した 「羽…」 ナマエはチラリと、部屋の隅に置かれたガラス張りの棚を見やる。 そこの中には以前拾った純白の羽と、コピーが手渡した漆黒の羽がしまわれていた。 あれは、何を意味するのだろうか ナマエはグルグルと巡る思考を、目を瞑って丁寧に解きほぐす。 もしかしたら…兄さんは、まだいるのかもしれない そんな答えが、突如として浮かび上がった。 それに何より、 その答えが正解ならば、全て辻褄も合うのだ。 [*前へ][次へ#] [戻る] |