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「…何なんだろうな」
「ん?」
「皆、何を考えてるんだろうな」
ザックスは視線を海へやる。自分達の知らないところで、真実と呼ばれる事実は常に形を変えながら身を隠している。
自分の周りはこうも信用ならないものだったのかと、此処まで来ると呆れることしかできない。
「真実は、その人の中にしかない。その真実ですら、言葉にした瞬間に疑わしくなっていく…」
シスネも青々とした水平線を見つめ、ウェーブのかかった赤みがった髪を撫でつけながら目を細めた。
すると、暫くしてザックスは何を思ったか、また荷物に手を伸ばす。
その様子をシスネが目で追えば、ザックスはチラッと横目でこちらを見る。
「シスネ、ちょっとあっち行ってろよ」
「…何、今度はエアリス?」
「ッなんで知ってるんだよ。俺は監視されてるのか!?」
多少呆れの入った口調に、ザックスはガバッと振り返った。その瞳は非難がましくしかめられていた。
しかしシスネは動じることなく、ザックスと視線を合わせ、軽く視線をはずしてみせる。その視線の先には、未だに熟睡しているナマエの姿。
流石にシスネが何を言わんとするか気付いたザックスは、向けられる白い目に思わず後ずさる。
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