偶の憩いを有意義に
ピピピピッピピピピッピピッ
「ツォン?」
『ナマエ、お前は暫く休暇に入ることになった』
「休暇?」
『あぁ。何か通達がないかぎり、暫くの間はバカンスに行ってくるといい』
「…。」
--偶の憩いを有意義に--
先日、何の前触れもなくツォンから知らせを受けたナマエ。
与えられたのは、あんなに忙しく働かされていたのが嘘のような、期限のない長期休暇だった。
どうにも腑に落ちないが、一応は仕事もないので指示に従うこととなった。
…それにしても。
「何でレノまで一緒に来るの」
「俺もバカンス貰ったんだぞ、と」
「サボリじゃないでしょうな」
「そこまで不真面目でもねぇし」
コスタへ向かうフェリーのテラス、
あまり馴染みのない海を興味深げにナマエが見下ろしていれば、その横にレノが現れた。
横目にそれを見上げればいつもの黒スーツでない、ゆったりとしたアロハ姿をして煙草をふかしている。
「私とか、バカンスの経費はどうなるの?」
「会社が全額負担だとさ」
「何それ、優遇されすぎ」
「働きすぎの俺達にごほうび、じゃねぇの?」
「…どうだか」
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