ページ:3
そうかそうか、とザックスは頭をガシガシと掻く。
「このフロアに貴方が居るなんて珍しいわね」
「いや、たまたまなんだけどさ…なぁ、ちょっと聞いていいか」
「何か?」
「此処にナマエが来なかったか?」
「見てないわね」
即答ですか!
ザックスはまたも肩を落としてジトリとシスネを見た。
シスネは気にした様子もなく、軽く両肩を上げてみせる。
「イエスかノーの質問に、悩む時間が必要?」
「そりゃあそうだけど」
「そんな時間があったら早く探しに行けば?ほら、エレベーター来たわよ」
チン、
振り向けば、無人のエレベーターがドアを開ける。
シスネが促せば、ザックスは渋々とそれに乗り込む。そして、ドアの閉まり際にフロアで見送りをするシスネに声をかけた。
「ナマエに会ったらさ、」
「伝言?」
「あ…いや、やっぱいいや」
何を伝えればいいか、わかんねえや
その時ザックスが小さく苦笑したのを、シスネは見逃さなかった。
そうして、エレベーターのドアはピタリと閉じてしまうのだった。
「ほら、いつまで隠れてるの」
彼、もう行ってしまったわよ
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!