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「ーーッ…、…」
それを呆然と見届けたあと、ナマエはどっと息を吐き出して壁に寄りかかった。
おさまらない動悸、肺に酸素を送って落ち着けようと沢山の空気を吸い込む。
苦しい苦しい苦しい
先程の空気から解放された途端、緊張が切れたように全て波が押し寄せてきた。そして、先程まで動揺のあまり回転しなかった脳は今まさに最大出力で稼働を始める。
何故自分はこうも取り乱してしまったというのだ。
ザックスに会うのが久々だから?話したのが久々だから?触れ合ったのが久々だから?
過呼吸になりそうなくらいに酸素を取り込む、しかし鼓動はおさまらない。
これは何、いったい何なの
しかし、どんなに頭を働かせても最後に辿り着くのは同じ疑問
そして先程、掴みかけたある感情
答えは一向に現れる兆しを見せなかった。
未だ収まらない熱を宥めながら、ナマエは彼の背中をひたすらに見つめていた。
彼は、いったい
私にとって、誰なのだろう
ナマエがそう考えている、その矢先だった。
「あ、なんだ。どうかしたかエアリス?」
ドクン、…
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