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肩に回されていた手が、そっとナマエの髪の毛を掬う。思わず身体に緊張が走り、ナマエはピクッと肩を揺らした。


鼓動が早い、顔が熱い、息が苦しい

これはなに、私いったいどうしたの


握りしめた拳にジワリと汗がにじむ。ナマエは気分を落ち着けようと必死に、内心で大変な葛藤を起こしていた。こんな調子では彼を直視なんて出来るはずもない。

思わず傾いたナマエに、どうした?とザックスはその頬にペタリと手のひらをあてる。


「おまえ、熱いぞ?」

「あ、う」

「熱あんじゃねぇの。ほら顔、真っ赤だぞ」


ぐいと頬を両手ではさまれて強引に上を向かせられ、びくりとナマエは目を見開く。不意をつかれたナマエは、更に混乱せざるをえなかった。

真正面には、やはり自分のように成長したらしい彼の顔。
自分と同じ空色の瞳、元々からの端正な顔立ち、以前の記憶より幾分か真面目そうに引き締まった表情。
今までに意識したことがないためか、彼を構成するもの全てがナマエの動揺を誘う。


知っていたはず
ザックスという人間を私は知っていたはず、なのに

この今の私は、いったい何


その全てが衝撃的で、うまく思考が働かなくなったナマエは、いたたまれない気分になった。




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