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芽吹き損ねた想い






正直、心の準備なんてあったもんじゃなくて


たまたま通りかかった先で
久方振りにアイツを見つけて

あんな恐がっている顔を見てしまったから


身体が勝手に動いたんだ





大丈夫か、とか
何があったんだ、とか

そんな問い詰めたいわけじゃなくて



とにかく、アイツにそんな顔をさせていたくなかった





ただ、アイツの瞳に自分を映したかったんだ










--芽吹き損ねた想い--







「…。」

「…。」


指令室からの帰り。

エレベーター内に、気まずい空気が流れる。
いつだったか随分と前にも、同じような事があったような気がする…デジャヴ?


「(どうしよう、)」


先程から離れそうにない自分の肩に回された腕、必然的に寄り添う身体。さっきまで止まりそうだった心臓は、今ではうるさいくらいに激しく運動している。

そして生憎、この狭い空間に現在は自分達のみ。どんなに意識しないように努力しようとも、嫌でも隣の存在が浮き彫りになる。

1分1秒が、とてつもなく長く感じられた。



ちらり、
ナマエは真っ直ぐ前を見たまま微動だにしないザックスを見上げる。


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あきゅろす。
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