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「お前ホントこえぇ、何で知ってんだよ」
「お前の日々の行動見てりゃそれとなく気付くわ」
カンセルは、最近のザックスがナマエに向ける視線で感づいていた。
それは先程の彼のいう後悔とは別ものであるということと、彼の中のナマエの存在理由が少しずつ形を変えているということ。
おそらく後者のほうは無自覚なのだろう、だがしかしこれは随分と前からカンセルには分かっていたことだった。
「で、そんな後ろめたい気持ちがあるザックス君に吉報だ、って言ってんだよ」
「う、うっせ!何だよその嫌な言い方ッ」
顔を真っ赤にして喚くあたり、かなりザックスは動揺しているようだ。
実際のところ、詳しい実態を知らないカンセルはそんなザックスを面白そうに観察していた。
「お前さ、1日職務サボった日あったろ」
「おう」
「あの日のお前の仕事、誰がやってくれたと思う?」
ザックスはポカンと口を開ける。話の先が読めないのだ。
しかし、その答えは前々から知りたかったもの。結局、あの日のペナルティがなかったことをザックスはずっと疑問に思っていたのだ。
「ここまで来たら気付けよ、話の流れ的に」
「悪ぃ、分かんね」
「お前に答えを求めた俺が馬鹿だった」
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