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「お前、知ってた?」
アイツな、最近友達が増えたんだ
「は…」
それがどうしたと言うのだ、といいたげにザックスはいぶかしげに眉をひそめた。
「そんなのアイツの勝手だろ、俺になんの関係が…」
「大アリだよ」
鈍い音、激しい衝撃、ぶれる視界、そして口内に広がる鉄の味。
ザックスはフロアに倒れ込む。ガンガンと揺れる脳は上手く機能せず、自分を殴り飛ばした友人を見上げるのが精一杯。
「忘れたわけじゃねぇだろう」
いつもより腹に響く低いその声は、また至近距離に来る。
いったい何だと言うんだ、何故こうも俺ばかりが…
だがしかし、それさえもどうでも良いと思えてしまった自分は、どんなに堕ちきっているのだろう。
ザックスは口に広がったそれらを飲み下し、カンセルを見上げた。
そして思わず目を見開く。
何故なら、彼の表情は殴られた自分よりはるかに悲痛そうに歪められていたから。
「カンセル…」
「アイツは独りが大嫌いなんだ」
始めから知っていたはずなんだ。
独りは嫌なんだろ?とその頭を撫でてやれば彼女は恥ずかしそうに顔を赤らめて、不本意ながらに頷いてくれた。
それは、ナマエが自分達を親しい友人と認めた証。
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