ページ:3 『俺には、十近く離れた妹がいてな』 いつの日だったか、 LOVELESSを片手に夕陽を眺めながら、あの友人は自分に話した。 『いつも、俺やアンジールの後ろをついてきた』 小さな体で精一杯、年の離れた兄達の背を追いかけて、追いかけて続けて 『俺達がソルジャーになるために村を出ようとした時だって、ついてこようとしたくらいだ』 そう語る友人の表情は、いつになく柔らかかった。 『その時、約束した…お前が大きくなったらソルジャーになって、また俺達と居ればいいと』 だから俺は決意したんだ、とその瞳は夕陽を見つめる。 『危険な場所でさえナマエが傍に居たとしても、守れるくらい強くなっておこうと』 彼の紅に、夕陽の朱は溶かされたように照らす。 兄弟というものを知らない自分は、 彼にその大切さを伝えられた その“大切な存在”が、この少女か。 セフィロスは不満げに頬をむくらせているナマエを見て、小さく笑った。 「俺に妹がいたら、こんな感じなんだろうかな」 「え?」 セフィロスの思わぬ発言に、ナマエはポカンと口をひらく。 [*前へ][次へ#] [戻る] |