ページ:2 「紅茶も甘くしないと飲めないのか?」 「珈琲ほどじゃないけど…なんだって甘いほうが美味しいじゃない」 氷が溶け出して結露しはじめたグラスの表面を、我慢出来なくなった水滴がツウと線をひくように流れ落ちる。 それを見届けた後に、ナマエはアイスティーを口元に運んだ。 「ガキっぽいのは変わらないぞ、と」 「煩いな-…」 レノはナマエの向かい側に座って頬杖をつく。 最近はどこでもかしこでも、自分達はこんな図になるのだな…と思いながら、水面に浮かぶ氷を口に含むナマエ。 そう、いつもレノはナマエの向かい側で頬杖をつく。 そして、いつもは不敵な笑みばかり浮かべているその表情が、この時だけは柔らかくなる。 始めはそれが何とも気恥ずかしくて声を荒げたこともあったが、今ではそんなこともない。 先日この様子を見かけたシスネが、レノってこんな顔出来るのね-と感心していたことを思い出す。 別にこの状態が嫌なわけではなかったので、ナマエは最近は煩わしがるのを止めていた。 邪険にする態度は、一種の照れ隠しのようなものだったためでもあったからだ。 [*前へ][次へ#] [戻る] |