* 「思ったほど落ち込んでいないな」 「…」 セフィロスは向かいの椅子に座り、膝を組んでナマエを見た。瞬間、ナマエは動きを止める。 そしてしばらく珈琲の水面を見つめてから、口を開いた。 「…私は、薄情者だよ」 ナマエはコトリとマグカップをデスクに置くと、傍の引き出しをガラリと開いた。 それに深い意味はなかった。 「私…父さんや母さん、バノーラが亡くなったって聞かされた時、泣かなかった」 「兄さんとアンジールが死んだって聞かされた時も、泣かなかった」 今日の朝のはまた別の話だけど、とナマエはまだかすかに重い瞼を撫でる。 「実感が…ないんじゃないのか?」 「そう、なのかな」 「何せ、俺達の仕事が仕事だ…この目で見るまでは信じられないのだろう」 その言葉に、ナマエはセフィロスを見る。 セフィロスはスッと目を細めて、自分の珈琲をすすった。 「真実かも分からない、既に事実を隠蔽された偽りの情報やもしれん」 「それほどまでに、此処…神羅が信用ならないのは、まぁ確かだけど」 [*前へ][次へ#] [戻る] |