* 二人ぶん? どういうことか聞こうとする前に、ナマエはそのまま歩いていってしまった。カンセルは訳が分からず、その背中を見送る。 昨日の様子はどこへやら、ナマエはしっかり働いていた。逆に不安にも感じるが、とりあえずカンセルはそれに少し安堵して肩の力を抜く。それと同時に、表情には影がさした。 「それに比べて、アイツは大丈夫なのか」 今朝方、ふと見かけた友人の背中が脳裏にちらついた。 「珍しいな。お前が書類に追われるなんて」 「昨日一日サボっただけなんだけど」 自分のついでだが、と言わんばかりにマグカップを此方に見せるセフィロス。デスクいっぱいに書類を散らかしたナマエは、山に埋もれていた。流石にデスクワークのしすぎで肩の凝ったナマエは、ひとつ伸びをしてそのマグカップを受け取る。 「ブラック飲めない」 「砂糖が入っている、目が覚めるぞ」 「…にがッ」 「子供だな」 セフィロスの呆れたようなわざとらしい溜め息に、ナマエはムスッとして見上げた。 [*前へ][次へ#] [戻る] |