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ズルリと
取っ手から手が滑り落ちる。
足から力が抜けて、ザックスはぐたりとフロアの床に崩れ落ちた。
頬を生暖かい雫が伝う。幾筋も、とめどなく…
滑り落ちた手は拳を強く握りしめ、力一杯膝を殴る。鈍い音と共に鈍い痛みが走るが、それで気持ちがおさまるわけもなく。

どうして、ナマエが泣いているのかも分からず
だがしかし、その傍によるには奴がいて
俺の役割をこなしている

もうナマエの隣は、俺の場所ではなくなったのか…





ピルルルルルッピルルルルルッ
ピッ


『ザックス、仕事だ』
「ツォン…」
『長期の任務になりそうだ、短くて1ヶ月。明日には発つから、準備をしておけ』

ピッ

力が抜ける
気力もなくなる
携帯端末をしまい、重い腰をあげる。



自業自得
そんな言葉が、頭をよぎる。

「俺がナマエを傷付けたから…」

その隣にいる権利が剥奪されたのだ。


気付いた時には
全てが手遅れ

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