*
何にしても俺は
「ナマエをこの手で傷付けた…」
アイツが泣かないようにしてやりたくて、アイツを守ってやりたくて、アイツを笑顔にしてやりたくて
ただ、傍にいてやりたかっただけなのに
“それは違うだろう”
そう言いたげに、エレベーターのドアが閉まる。視界を遮り、ザックスをこの空間に閉じ込める。
“違うだろう”
何が
“それはお前の『望み』の筈なのに”
俺の、望み
“それを何故、『施し』と偽る”
“お前が望んでいることなのに”
“何故”
グサリグサリと、沈黙の中に浮かぶ言葉が突き刺さる。
ただ、傍にいてやりたくて?
違う
“ただ、傍にいたくて”
カチ、
開くのボタンに、指先が触れる。ドアはフワリと開く。
足は自然に前に出る。
「泣かせたくなかった」「守りたかった」「笑顔が見たかった」「傍にいたかった」
それが、俺の望みで俺の意志。
そうだった…はずなのに
“何故、傷付けた”
気付いた時には
全てが手遅れ
そう、全てが
手遅れ
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